生前の父は間違っていなかった

2025年10月14日


突然に、霊の声が聞こえてきて「イキガミって言われる」と父と母に告白してからほぼ20年が経とうとしています。

告白した時に、父が泣いているのを初めて見ました。母には病院に行くことを勧められました。


私は同性愛者であることを生前の父には言いませんでした。

それは父が私のことを許すことは無いと思ったからです。

父は男らしく厳格な人で私と相いれることはありませんでしたので、聞かれても嘘を言うつもりでした。


幻聴が聞こえたり幻覚が見えるようになってからほぼ20年経ち、父の生前を振り返ると、やはり父は間違っていなかったのだと日々実感するようになりました。


生前の父を振り返って。

父のパソコンには孫の英さね君の写真が飾ってありました。「子供は眠りたいだけ」とでも言いたい様でした。

余生は兄の弁護をしていて、仕事の心配ばかりしていたようです。

仕事を退職した後は闘病生活が続きましたが、母には心配をかけたくないようでした。

私も含め父の家族全員、 治療の苦しみや痛みに殆ど気づくことはありませんでした。


私は人で、身内の幸せを祈っていればきっと天国に行ける。

後藤家は兄が支えますが、私には本当は兄の手伝いをしてもらいたかったようです。

相続財産については、父は厳しい人だったので後世にいきわたるようにしていたようです。

聞こえてくる霊の声は、その遺志を継ぐのを私に託しているのだと思います。


父は、実は宗教はあまり好きでは無かったのですが、最終的には私について言うと「お前には宗教が向く」と言っておりました。


父は兄弟平等で法定相続という遺言を私に残しました。

胃がんだった父は、「お前は俺と一緒の墓に入るんだぞ。」と言い残しました。

私が聞いた病院での最後の言葉は、「うちに帰りたい。」でした。

父の仏壇には、姉、純子の「純」の文字が入っている位牌が飾ってあります。

父に感謝をし、母と一緒に父の成仏を祈っています。


© 2022 後藤広一